ブラックかもしれない!?① -ある有料老人ホーム-

ブラックな職場


僕は今まで、アルバイトを含めると10以上の職を経験しています。


その中には、

この職場おかしくね? もしかしてブラック?

と、思った仕事はいくつもあります。


今から思えばそれはそれで貴重な経験をしたと言ってもいいかもしれませんが、

勤めているその時は本当にしんどかったです。

その中でも、特に印象に残っているブラックな経験をいくつかご紹介できればと思います。


まず一つ目は、妻と出会った職場でもある有料老人ホームです。

介護の仕事自体は楽しくやりがいがあって問題ないのですが、

施設長が大いに問題ありの人でした。


仕事をサボるのは当たり前。

自分の都合に合わせて業務方針をコロコロ変える。

嘘を平気でつく。

夜中にわざわざ家庭の洗濯物を持ってきて施設の洗濯機で洗う。

ヘルパーたちの有給休暇を勝手に取得日を決めて勝手にシフトに組み込む(!)。

介護士の数が少なくて(みんな施設長が嫌で辞めていく)手が回らないから

これ以上入居者を入れないと言っておきながら、売り上げをよくして自分の成績を上げるために

介護度が高く手間のかかる入居者をしれっと入れるなど、まさにやりたい放題を極めていました。


そんな施設長の横暴を右から左に受け流しながら何とかやっていましたが、

ついに我慢の限界が訪れたのが、母が倒れて入院した時でした。


診断の結果、母の病状は子宮肉腫、いわゆる子宮ガンでした。

ガン細胞は瞬く間に増え続け、腫瘍が大きくなってまるで妊婦のようなお腹になっていました。

医者が言うには、余命はなんと2週間。

すでにレベル4の段階で、手の施しようが無いとのことでした。


いつ状態が悪化するともわからない状況の中、僕は少しでも母に異変があると連絡を受ければ、

仕事を休んですぐ病院に駆けつけました。

そうこうするうちに有給休暇も底をつきた時、試しに事務員に相談したところ、


「特別休暇の処置が可能だから、気兼ねせずにお母さんのお見舞いに行ってあげてください」


そう言われてありがたく仕事を休んで連日母のお見舞いに行き、入院からまさにちょうど2週間で

亡くなった母の最期も看取ることができました。


しかしその後、給与明細を受け取って驚愕しました。


今月の給料が…な、7万円!?

70万円でも17万円でもなく7万円て…どういうことだ!?

特別休暇は一体どうなった!?

7万円でどうやって生活するんだいっ!?


僕は勢いよく駆け出して事務室に駆け込むと、そこに施設長がいました。

どういうわけだと問い詰めると、


「いえ、そんな話は聞いてません〜。

 たけぞうさんの勝手な思い込みでして〜」


無意味に語尾を伸ばすムカつく喋り方でヘラヘラ笑う施設長の隣で事務員は、

申し訳ないと言う顔つきで黙ってうつむいていました。


コイツ…自分の成績上げるために余計な出費になる特別休暇の話を握りつぶしやがったな!


そう思った僕は、思っていることを洗いざらいブチ撒け、施設長と激しく口論しました。

僕はすぐにでも辞めることを施設長に告げると、施設長は、人員不足もあり、最低でも4ヶ月は規則で

辞められないと言い出しました。


くそっ…! でも確かにここですぐに辞めてはさらにみんなの負担が大きくなる…!

ここはコイツの言うことを聞くしかないか…!


僕はその後、我慢して4ヶ月勤め上げ、晴れて退職することになりました。

その時、本社から来ていたマネージャーが言うとことには、

4ヶ月辞められない規則は施設長の嘘で、せいぜい1ヶ月でよかったこと、

母が亡くなった時の忌引き休暇も施設長が意図的に日数を減らしていたことも判明しました。

もう開いた口が塞がりませんでした。


後に元同僚から聞いた話では、あまりにも短期に多くの介護士が辞めていく責任を取らされて、

この施設長はクビになったとのことです。


最後の最後まで人間不信になるようなことの連続で、晴れて退職してめでたしと思ったのも

束の間、次の職場もまた黒く闇に染まっていたのです…。

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